品質管理(QC=Quality Control)とは?品質保証との違いや資格を解説
投稿日:2023/2/6
皆さんは品質管理(QC)と品質保証(QA)の違いをご存じですか?この記事では、品質管理について知識をつけたい方向けに、製造業で欠かせない品質管理の基礎的な内容や代表的な手法を分かりやすく紹介しています。
1. 品質管理(QC=Quality Control)とは?
品質管理(QC=Quality Control)とは、製品の生産やサービス構築などの製造過程で品質に問題がないか検証・保証することを指します。また、これを行う職種の名称としてQCが使われる場面もあります。
品質管理には、工程管理・品質検証・品質改善の主に3つの活動があります。
- 工程管理…製品やサービスを作る工程そのものを管理すること。
- 品質検証…仕入れた部品や製品に問題がないか検査すること。
- 品質改善…不具合の再発防止や未然防止のために改善方法を考えること。
これらを行うことで、製品やサービスの品質を維持しています。次の章では、品質管理の目的についてお話しします。
1.1. 品質管理の目的は?
品質管理の目的は、不良や不具合の流出を未然に防ぎ品質の低下を防ぐことです。品質の低下は顧客からのクレームや売上の低下、さらには企業の信頼低下といった問題に発展する可能性があり、企業にとって大きな損害に繋がる危険性があります。そのため、適切に品質管理を行い品質の低下を防ぐことは、企業の存続にかかわる重要な取り組みだといえます。
1.2. 品質保証(QA)との違いは?
「品質管理」と混同しがちな単語に「品質保証」があります。品質保証(QA)はQuality Assuranceの略で、製品の原材料の調達から販売後までの全工程において製品の品質を保証すること、またはそれを行う職業のことを指します。
「品質保証」は、企画から設計・製造・流通・販売後までの幅広い範囲を長期間にわたって品質を保証するのに対し、「品質管理」は製造過程のみの比較的短期間の品質を維持する活動を指します。「品質保証」の活動範囲内に「品質管理」が含まれると考えると分かりやすいです。
1.3. QCDとの違いは?
QCと似ている言葉に「QCD」があります。QCDとは、製造業で重視すべき3つの要素Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)を指します。品質管理も品質保証も、この3要素を管理するための活動です。
これら3要素を軽視していると、以下のような問題に発展する可能性があります。
- 品質が低い場合、顧客のニーズを満たせず売上が低下する
- コストがかかりすぎている場合、利益が出ず経営が困難になる
- 納期が遅れた場合、信頼を失い仕事が無くなる
このように、QCDの管理を怠ると企業の存続にかかわる重大な問題を引き起こす可能性があります。そのためQCDの重要性を知り、バランス良く管理することが大切です。
1.4. 品質管理に関連する規格や資格
この章では、製造業に携わる方なら知っておきたい品質に関連する規格や資格について紹介します。
1.4.1. 国際規格「ISO9001」
「ISO9001」とは、品質マネジメントシステムに関する規格で、全世界で170ヵ国以上、100万以上の組織が利用しています。国際的な取引をスムーズにするために、製品やサービスに関して「世界中で同じ品質レベルのものを提供できるように」と定められた国際的な品質管理の基準が「ISO9001」です。
ISO9001を認証取得している企業は「国際基準を満たす品質管理の仕組みを持っていること」を証明でき、以下のようなメリットが受けられる可能性があります。
- 組織内のシステムを確立しやすくなる
- 責任・権限が明確化する
- 他社やお客様からの信頼が向上する
- 取引拡大による売上増加が期待できる
ただし、コストや手間がかかるというデメリットもあるため、導入するには注意が必要です。当社では、2020年にISO9001を取得し、安心して仕事を任せていただけるような環境を整えるために継続的な改善を行っています。
ISO9001について気になる方は、こちらの関連記事をお読みください。
関連記事:ISO9001とは?要求事項や取得方法を解説
1.4.2. 品質管理を学ぶならQC検定
QC検定とは、品質管理の知識について問われる試験で、日本規格協会が主催する民間資格です。2005年に第1回試験が開始された比較的新しい資格で、累計1千万人以上の人が受験しています。試験の難易度によって1〜4級に分かれており、それぞれ受験対象となる人や試験内容が異なります。
品質管理について学びたいけど何から勉強すれば良いのか分からない人は、QC検定合格を目標に過去問や参考書で学んでみてはいかかですか?気になる方は、こちらの記事もあわせてお読みください。
関連記事:【QC検定2級】難易度や概要、勉強方法など詳細解説
【QC検定3級】難易度や概要、勉強方法など詳細解説
【QC検定4級】難易度や概要、勉強方法など詳細解説
2. 品質管理の代表的な手法
製造業では、品質管理を適切に行うための手法がいくつかあります。この章では、品質管理を行う上で役立つ代表的な手法を5つ紹介します。
手法1. QC7つ道具
QC7つ道具とは、生産活動の中で蓄積されるデータを図表化するツールのことです。QC7つ道具を活用すると、主に数値データを視覚的に把握できるようになるため、問題発見や現状の把握、課題・効果の確認などの情報把握が容易になり、見落としを防止することにも役立ちます。
QC7つ道具・新QC7つ道具の詳細や活用事例についてはこちらの関連記事をご覧ください。
関連記事:QC7つ道具とは?覚え方から使用例まで分かりやすく解説
新QC7つ道具とは?覚え方から使用例まで初心者向けに解説
手法2. PDCA
PDCAとは
- Plan (計画):目標・目的を明確にし仮説を立ててから計画する
- Do (実行):計画を実行する
- Check (測定・評価):計画通りにできたか、目標達成できたか検証・評価する
- Act (対策・改善):検証結果から今後の改善や対策を考える
の頭文字をとったものです。P→D→C→Aのサイクルを繰り返し行うことで、継続的な業務改善や効率化ができる方法です。ISO9001にもPDCAサイクルの手法が取り入れられており、業界や業種を問わずに管理方法の基礎として利用されています。
手法3. 5S
5S活動とは、職場の環境改善を目的として行う活動です。「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」という、改善活動において重要な5つの要素の頭文字をとって「5S」と名づけられました。
5S活動を行うと快適な職場環境を維持できるだけでなく、作業効率化による生産性の向上や、安全性の向上、チームワークの向上など様々なメリットがあります。5S活動についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの関連記事をご覧ください。
関連記事:5S活動とは?進め方やアイデア事例を紹介
手法4. 4M
4Mとは、生産現場の品質管理を行う上で重要な4つの要素「Man(人)」、「Machine(機械)」、「Method(方法)」、「Material(材料)」の頭文字を取った言葉です。この4つの観点から生産現場を管理することで、トラブルの予防や問題発生時の原因究明を行うために役立ちます。
特に、4Mが変更するときはきちんと記録を残して管理する必要があります。なぜなら、変化するタイミングで様々な問題が発生しやすいからです。具体的な変化点は、以下になります。
このような変化点を事前に把握しておくことで、問題発生を未然に防いだり、問題の原因を追及するために役立ちます。4Mについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてお読みください。
関連記事:4M変更とは?|製造業で欠かせない品質管理手法を紹介
手法5. IE
IEとは、インダストリアルエンジニアリング(Industrial Engineering)の略で、業務改善を目的に、生産活動の作業工程・作業内容を科学的に分析する手法のことです。日本語では、生産工学・産業工学・管理工学・経営工学などに翻訳されますが、IEはこれらすべての意味を含んでいます。そのため、日本語で正確な意味を示す言葉が無く、日本でも「IE」がそのまま使われています。
IEには様々な手法がありますが、ここでは代表的なもの2つを紹介します。
①方法研究
方法研究とは、最も効率の良い方法を追及するための手法です。仕事の流れをスムーズにしたり、作業員の動作を改善します。具体的な手法としては、工程分析・動作研究・運搬分析などが方法研究に含まれます。
②作業測定
作業時間を定量的に測定するための手法です。現状の分析や評価・見積もりを行います。具体的な手法としては、時間研究・稼働分析が作業測定に含まれます。
3. まとめ
この記事では、品質管理の概要や手法について説明しました。また、関連する資格や混同しがちな用語を紹介しました。これから品質管理を学ぶ方にとって役立つ記事となっていれば嬉しいです。
当社では、従業員のスキルアップや品質への理解を深めることを目的に、QC検定の取得を推奨しており、資格取得支援を行っております。また、2020年に「ISO9001」を取得し継続的な品質改善を行い、お客様に安心して仕事を任せていただけるような環境を整えています。HPに記載されていない案件でも誠意をもって対応させて頂きますので、まずはお気軽にお問い合わせください。