5S活動とは?意味や効果・進め方やアイデア事例を紹介

投稿日:2022/9/29

トヨタから始まったと言われる5S活動。今では製造業やサービス業など様々な企業で取り入れられていますが、単に現場を綺麗に保つことだけが5S活動の目的ではありません。この記事では5S活動の意味やその効果、そして取り組む際に役立つアイデアや進め方のポイントについて説明しています。職場環境の改善や品質向上を目指す方にぜひ読んで頂きたい記事となっています。

5S活動
  1. 【目次】
  2. 1. 5S活動とは?
    1.     1.1. 5S活動の効果
  3. 2. 5Sの要素と実施のポイント
    1.     ①整理:要らないものを処分する
    2.     ②整頓:保管場所を決める
    3.     ③清掃:定期的な清掃により綺麗な状態を維持する
    4.     ④清潔:「①整理②整頓③清掃」の3Sを標準化し維持する
    5.     ⑤しつけ:決められたルールを守り習慣化する
  4. 3. 5S活動の進め方
    1.     ステップ1 事前準備:5S活動の目的・目標を共有
    2.     ステップ2 計画:実行計画の策定
    3.     ステップ3 実施:計画の実施と進捗管理
  5. 4. 5S活動の事例
    1.     4.1. 食品業 赤城乳業株式会社
    2.     4.2. 情報通信業 ユーザックシステム株式会社
    3.     4.3. 医薬品製造業 浜理薬品工業株式会社
  6. 5. まとめ

1. 5S活動とは?

5S活動とは、職場の環境改善を目的として行う活動です。「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」という、改善活動において重要な5つの要素の頭文字をとって「5S」と名づけられました。

5Sの要素

この活動は、製造業だけでなくサービス業や建設業・病院や看護の現場などでも効果を発揮しています。普及の背景には諸説ありますが、世界的にも有名なトヨタ自動車で採用されている「トヨタ式5S」が始まりだとする説が有力です。

1.1. 5S活動の効果

5S活動を行うことで職場が整い、綺麗で快適な環境を維持することができますが、効果はそれだけではありません。5S活動を適切に実施し職場改善を行うことで、以下のような効果が見込めます。

【5S活動の効果】

  • 作業効率化による生産性の向上
  • 安全性の向上
  • 作業員モラルの向上
  • チームワークの向上
  • 商品・サービスの品質向上

社員のひとりひとりが「5S活動」に取り組むことで、職場環境が整い作業効率が向上するだけでなく、社員の積極性やチームワークが育ち結果的に品質アップや会社の信頼につながります。

しかし、正しく活動を進めないと本来の効果が得られないばかりか、業務が増えることでかえって非効率化を引き起こす可能性があります。次の章では、5Sを構成する各要素の意味と実施するときのポイントを紹介します。意味をしっかり理解しポイントを押さえて実施することで、本来の効果が期待できます。

2. 5Sの要素と実施のポイント

この章では、5Sを構成する各要素(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の説明と発生しがちな問題を紹介します。そして、各要素を適切に行うためのポイントを解説します。

①整理:要らないものを処分する

整理とは、現場にある在庫や道具を必要なものとそうでないものにわけ、不要なものを処分することです。

整理

整理ができていない現場で起こりがちな問題

作業場に不要なものがおいてあると、以下のような問題が発生する可能性があります。

  • 在庫の保存や作業するためのスペースが少なくなり生産性が低下する
  • 不要なものが放置されることで転倒などのケガに繋がる可能性がある
  • 必要なものを探すのに時間がかかる

このような問題の発生を防ぐためにも、適切に整理を行うことが大切です。

整理のポイント:赤札作戦

整理を効率的かつ簡単に行うための方法として「赤札作戦」があります。これは、不要なものの基準を決めて、不要物に該当するものには「赤札」を貼り品目名を記載します。そして赤札を貼った不要物をリスト化し、本当に不要なのかどうか判断して要らないものは破棄します。不要なのか判断ができないものに関しては保管期間を決め、保管期間を過ぎたときに改めて不要かどうか判断します。これにより、職場をすっきり整理することができるうえに、何をいつ破棄したのか、何が保管されているのかを把握できます。

②整頓:保管場所を決める

整頓とは、必要なものをいつでも誰でも取り出しやすいように、ものを置く場所を決めておくことです。

整頓

整頓ができていない現場で起こりがちな問題

資材や道具を置く場所が決まっていない現場では、以下のような問題が発生する可能性があります。

  • 新人作業員や代理作業員が作業するときに道具や材料の置き場所が分からず探すのに時間がかかり作業効率が落ちる
  • ものを置く定位置が決まっていない場合、道具や資材が作業台や別の場所に置きっぱなしになり紛失に繋がる

整頓のポイント:3定

整頓を適切に行うためには、整頓の基本「3定」を意識しましょう。3定とは「定置・定品・定量」のことで「どこに・何を・いくつ」置くのか決めることです。この3定を行う上で、以下の3つのポイントを抑えてものの保管場所を決めると、作業しやすく無駄のない環境を作ることができます。

  • 定置 (どこに) 棚にマグネットやシールで置くものの名前を表示する
  • 定品 (何を)  取りやすさを考えてものを置く場所を決める
  • 定量 (いくつ) 必要な量だけ置く

一度定位置を決めたとしても、作業をしている中でやりにくいと感じる場合もあるかもしれません。そのような場合には、その都度置く場所を変更し、より快適に作業ができる環境を作りましょう。

③清掃:定期的な清掃により綺麗な状態を維持する

清掃とは、作業場や設備の掃除を定期的に行い、きれいな状態を維持することです。

清掃

清掃ができていない現場で起こりがちな問題

適切な清掃が行われていない場合、以下のような問題が発生する可能性があります。

  • 不衛生な作業環境による異物の混入などの品質問題に繋がる
  • 場所や設備の異常に気づかず事故が発生する可能性がある

このような問題の発生を予防するために、定期的に清掃を行うことが大切です。

清掃のポイント:全員参加

清掃を行うにあたって重要なポイントは、働く人全員が清掃活動に参加することです。なぜなら、汚す人と掃除する人が違っていると、綺麗に使おうという発想になりにくいからです。また、全員参加を促すためには清掃の時間を業務に組み込むなど、全員で清掃を行える体制づくりも大切です。清掃業務が業務内容に組み込まれていない場合、自発的に清掃を行う人とそうでない人が出てきてしまいます。特定の人物に負担が偏らないようにするためにも全員参加を促す体制づくりが大切になってきます。

④清潔:「①整理②整頓③清掃」の3Sを標準化し維持する

清潔とは、「①整理②整頓③清掃」の3Sを標準化し、誰が行っても一定レベルの綺麗な状態を維持することです。

清潔

清潔ができていない現場で起こりがちな問題

3Sが標準化されておらず清潔ができていない場合、以下のような問題が発生する可能性があります。

  • 作業者によってやり方や仕上がりにばらつきがでる
  • 清掃が行き届いていない場所がでてくる

清潔のポイント:マニュアル化

上記のような問題を予防するために、3Sを維持できるように標準化しましょう。そのためにはマニュアルの作成が効果的です。①整理②整頓③清掃で行う業務を洗い出し、その手順や内容をまとめてマニュアルを作ることで、マニュアルを読めば誰でも同じ工程で作業を行えるので、一定の綺麗さを保つことができるようになります。

⑤しつけ:決められたルールを守り習慣化する

しつけとは、職場で決められたルールを社員全員が守り、無意識のうちに取り組めている状態をつくることです。しつけというと、管理者が仕組みややり方を一方的に指導するというイメージがあるかもしれませんが、5S活動のしつけには「全社員が自発的に整理・整頓・清掃に取り組む状態を習慣化すること」も含まれています。

しつけ

しつけができていない現場で起こりがちな問題

しつけが適切にできていない現場では、以下のような問題が発生する可能性があります。

  • 上からの指示だという強制感が生まれ、社員の自主性やチームワークが育たない
  • 仕組みが習慣化されず清潔な状態が維持できない

こうなると5S活動本来の効果が得られません。職場の社員全員が自主的にやりたいと思えるような指導を行い、職場全体で取り組める体制を作ることが大切です。

しつけのポイント:チェックシート

しつけを適切に行うための体制づくりの一環として、5S確認チェックシートを作成しましょう。チェックシートを記入するという作業を業務内容に組み込むことで、5S活動を習慣化することができます。これにより、作業者は5Sを正しく漏れなく行うことができ、管理者も作業がしっかりと行われていることを確認できるようになります。

3. 5S活動の進め方

2章では5Sを構成する要素の説明とポイントを説明しました。この章では、実際に5S活動を行うために必要な事前準備や全体的な進め方を説明します。

ステップ1 事前準備:5S活動の目的・目標を共有

まずは5S活動を行う目的や目標を経営者や各部署のリーダーで決定し全社員に共有しましょう。目的・目標とともに、5S活動で仕事がどれだけ効率化できるのか、安全性がどれだけ上がるのかという効果を社員たちに説明し、5S活動の必要性を皆に理解してもらうことが大切です。

そのために、社内で勉強会やセミナーを開いて5S活動について皆で知見を深める時間を作りましょう。例えば、5S活動によって職場が改善された事例を資料や動画で紹介することで「こんな環境で仕事をしたい」と社員たちのモチベーションを高めたり、現場のチームメンバーで危険な場所や改善できる部分を話合うなど、会社の規模や確保できる時間に合わせてセミナーの内容を考えましょう。

勉強会

ステップ2 計画:実行計画の策定

全社員に目的を共有できたら、次は具体的な実行計画を立て計画書を作成しましょう。まずは3か月〜1年程度の中長期的な計画書を作成し、活動全体の大まかな流れが理解できるようにしましょう。次に、1か月程度の短期間の計画書を作成し、いつ誰がどこでどのように活動するのかという詳しい内容まで分かるようにしましょう。以下のような内容が盛り込めていれば、分かりやすい計画書を作ることができます。

【計画書の内容】

  • 活動期間 (例:2010年4月1日~2010年4月30日)
  • 活動日時 (例:2010年4月1日 9:00~11:00)
  • 担当者名 (例:佐藤)
  • 場所   (例:Aライン)
  • 業務内容 (例:整理・赤札作戦)

計画を立てるときの注意点としては、「①整理②整頓③清掃④清潔⑤しつけ」の順で実施するということを意識しましょう。5S活動の効果を最大限に得るためには、正しい順番で行うことも大切な要素の一つです。

ステップ3 実施:計画の実施と進捗管理

計画書ができたら、計画書に沿って各現場で実際に5S活動を進めていきます。実施するときのポイントは2章で説明していますので、ぜひ参考にしてください。
また、活動報告書を作成することで計画通りに5S活動が進んでいるのか確認できます。活動報告書には、5S活動前後の状況を写真や文章で記録に残すことで、後で確認しやすく成果を実感しやすくなります。活動報告書を作ることで業務内容を振り返り、次にするべき改善業務を見つけ計画を考えましょう。

4. 5S活動の事例

最後に、様々な業界で行われている5S活動について紹介します。あらゆる業界の企業が5S活動の効果を認め、積極的に自社の改善活動として取り入れています。

4.1. 食品業 赤城乳業株式会社

ガリガリ君で有名な赤城乳業株式会社の食品が製造されている「本庄千本さくら5S工場」では、衛生管理・品質管理といった環境対策や社員教育・モチベーションアップのために5S活動が積極的に取り組まれています。具体的には以下のような活動が実施されており、会社全体で5S活動に取り組める体制が整えられています。

  • 挨拶運動:担当者が玄関に立ち、出勤する社員と挨拶をかわす活動。
  • 改善提案の提出:月に一度、全社員が普段の業務の中で不便だと感じたことや作業効率を上げる方法を考え、アイデアを提出する活動。優秀提案者には表彰も行われる。

赤城乳業株式会社公式HPより引用

4.2. 情報通信業 ユーザックシステム株式会社

システムやソフトウェアの開発・販売・サポートを専門としているユーザックシステム株式会社では、5S活動の一環として以下のような工夫が施されており、常にオフィスを綺麗に保つことができるように環境が整えられています。

  • ファイルの背表紙に山形の模様があることで、一目で置くべき位置が分かる(左図)
  • ロールマットを文具の形に切り抜き、引き出しの中の決められた場所以外には置けないようにする(右図)

ユーザックシステム株式会社公式HPより引用

4.3. 医薬品製造業 浜理薬品工業株式会社

主に医薬品の製造・販売を行っている浜理薬品工業株式会社は、組織の効率化、業務効率の追及、信頼される製品の追及を目的として5S活動に取り組んでいます。その取り組みは生産効率や安全衛生意識の工場といった結果を残し、「経営直結型5S」活動として厚生労働省のHPで紹介されています。

浜理薬品工業株式会社公式HPより引用

5. まとめ

本記事では、5S活動の意味やその効果、そして進め方や事例を紹介しました。これから社内や外注先で5S活動に取り組む方にとって役立つ記事となっていれば幸いです。
弊社では5S活動の一環として、作業環境の整理整頓・清掃の徹底やあいさつの習慣化など、日々より良い職場環境を作るための取り組みを進めています。

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