振り返りフレームワーク「KPT」とは?手順や当社事例を紹介

投稿日:2023/6/12

日々の業務でムダを無くし、生産性を上げるためには「振り返り」の機会を持つことが大切です。過去を振り返ることで良かった点や問題点が分かり、するべきことが明確になります。この記事では、振り返りが簡単にできるフレームワーク「KPT」を紹介します。職場で改善活動を担っている方やKPTの詳しい活用方法について知りたい方向けに以下について述べています。

  • KPTの概要
  • KPTの良いところや注意点
  • KPTの進め方
  • 当社の事例

本記事をご覧いただくことで「振り返り手法KPTとは何か?」「KPTをどのように進めていけばよいのか?」がお分かりいただけます。

なお、当社でも実際に「KPT」を利用し社内のムダ取り活動を行っています。この記事は、当社の経験や知識がベースとなっていますので、ぜひ参考にしてください。

  1. 【目次】
  2. 1. 振り返りツール「KPT」とは?
    1.     1.1. どんな時に使うの?
    2.     1.2. KPTを行うメリット
    3.     1.3. KPTを行うときの注意点
  3. 2. 「KPT」の活用方法
    1.     2.1. 事前準備
    2.     2.2. KPT活用の手順
  4. 3. 当社の事例
  5. 4. まとめ

1. 振り返りツール「KPT」とは?

KPT(読み:ケプト、 ケーピーティー)とは、3つの英単語「Keep」「Problem」「Try」の頭文字から成り立つフレームワークです。個人やチームが過去の経験や取組を振り返って、改善へ向けてアクションプランを立てるために使用されます。

【3要素の詳細】
Keep:維持するべき良かった点
過去の取り組みで良かった点や、今後も続けるべき点を振り返ることです。例えば、「レイアウト変更により作業をスムーズ行えた」と、良かった点を今後も続けます。

Problem:問題点
過去の取り組みで問題が起きた点や、改善が必要な点を振り返ることです。例えば、「不良品の発生率が高い」という問題が発生したことを振り返ります。

Try:挑戦すること、改善点
問題点や改善が必要な点に対して、改善策を考えることです。例えば、不良品の発生率を下げる為に「検査を強化する」などの改善策が考えられます。

もともとはソフトウェアやシステム開発の分野で活用されていましたが、今では業種問わず様々なシーンで取り入れられています。

1.1. どんな時に使うの?

主に以下3つのタイミングで使用されることが多いです。

①プロジェクト完了後の振り返り

プロジェクト完了後にKPTで振り返りを行います。例えば、毎月の品質報告会で業務実績を報告するときにKPTを使用します。

例 「K」…先月の不良流出件数は0件、目標納品数達成
  「P」…ただし、標準時間内に目標納品数が達成できていないため
  「T」…標準時間を達成できていない工程を洗い出し、改善対象を明確にする

②業務プロセスの改善

KPTを使って業務プロセスの改善に取り組むこともできます。例えば、生産ラインの柔軟性を改善するために、KPTで問題点を特定し改善策を考えます。

例 「K」…検査員の習熟度が高くミスが少ない
  「P」…欠員ができることで、チームの生産性に大きく影響する
  「T」…誰か休んでも他の人ができるように、多能工化を実施する

➂個人の成長の振り返り

KPTは、個人の成長の振り返りにも役立ちます。例えば、目視検査担当者が検査スピードを上げるために、KPTで自分自身の問題点を洗い出し、改善策を考えます。

例 「K」…今月の見逃しは0件
  「P」…同じ個所を違う角度から2回確認するため、検査スピードが遅い
  「T」…マニュアルで指示のない角度からは検査を行わない

1.2. KPTを行うメリット

KPT手法のメリットは以下の4つです。

①やるべきことが明確になる

KPTの良いところは、やるべきことを明確にできる点です。「良かった点」や「問題点」から「継続するべきこと」「やるべき解決策」を明確にします。そのため、次にするべきことが明確になり頭の中を整理できるのです。「何に手を付ければ良いか分からない…」という状況で発生する時間の無駄やストレスを取り除き、即行動に移せます。

②前向きに振り返れる

振り返りと聞くと「あれが出来なかった」「あの行動が悪かった」などネガティブな面が思い浮かびがちですが、KPTでは良かった点も振り返ります。「あの行動は良かった」「あの改善策は効果があったから続けよう」という風に、問題点だけでなくポジティブな面も交えて前向きに振り返ることができます。

➂コミュニケーションが取れてチームワークが向上する

KPTは、シンプルな構造で誰もが理解しやすく、参加者から意見が出やすいフレームワークです。チームメンバーと話し合う機会を持つことでコミュニケーションが活発になります。また、1人が出した意見に対して共感したり皆で解決策を考えるため、一体感が生まれチームワークの向上が期待できます。

④手軽にできる

KPTは、基本的に紙とペンがあれば出来ます。また所要時間も1時間程度です。その手軽さやフレームワークのシンプルさから、気軽に取り組めるのも魅力の1つです。また、個人でも複数人でも行える自由度の高い手法となっているため、仕事やプライベートを問わず使用できます。

1.3. KPTを行うときの注意点

KPTを行うときには以下の注意点に気を付ける必要があります。

①時間が必要

KPTを適切に行い改善につなげるには、十分な時間をとることが重要です。しかし、通常業務がある中で時間を捻出したり、参加メンバー全員の日程調整をしなければなりません。仕事の繁忙期や締切が迫っている時は、時間を作るのが難しい場合もあります。

②問題出しと解決を混同しない

KPTで問題点を出すとき、解決策まで話し合いで決めようとしてしまいがちです。これにより「全ての問題点を出し終えたか?」「今なにについて話しているのか?」が分からなくなります。話の脱線を防ぐためにファシリテーターを決めておきましょう。

➂意見を出しにくい雰囲気を作らない

他の人の意見を否定せずに、多様な意見が出るような雰囲気を作りましょう。また、Problemが多すぎてモチベーションが下がってしまった時は、Keepのポジティブな面を振り返り、明るい雰囲気で望めるようにしましょう。

2. 「KPT」の活用方法

前章では、KPTのメリットや注意点について説明しました。では、実際にはどのようにKPTを活用できるのでしょうか?ここでは、KPTを進めるための準備と手順についてお話しします。なお、KPT活用方法は多岐にわたりますが、ここでは当社の事例をもとにお伝えします。

2.1. 事前準備

KPTを始めるには、以下のものが必要です。

  • ホワイトボード or 模造紙
  • 付箋(2色)
  • ペン

基本的には10人程度で行いますが、人数が多い場合は担当業務別に5人程度に分けると意見が出やすくなります。参加者が集中力を保てるよう1時間程度で、開催頻度は毎月・毎週のように周期を決めて継続的に行うと効果的です。

2.2. KPT活用の手順

それでは、基本的なKPT活用手順を説明します。

STEP1 目的を共有

まずは、目的を参加者全員に共有します。業務の必要性を理解しやすくなる、一体感が出るなど、参加者のモチベーションアップにも繋がります。

逆に目的が曖昧だと、漠然と試行錯誤を繰り返すことで無駄なコストがかかったり、指示に統一性が無くなる可能性があります。結果、参加者のモチベーションが下がり目的達成が遠のいてしまうかもしれません。そのため、目的の共有はプロジェクトを進行する上で重要です。

STEP2 KPTのフォーマットを用意

次に、KPTフォーマットを作成します。模造紙かホワイトボードに、KPTの枠組み(下図参照)を書き込みます。このフォーマットは繰り返し使用するため、長期的に使用する前提で作成しましょう。

STEP3 問題点(Problem)と良かった点(Keep)を洗い出す

フォーマットを用意できたら、参加者全員で問題点(Problem)と良かった点(Keep)を付箋に書き出しましょう。質より量を意識し、思いついたらどんどん書き出すのがおすすめです。良かった点はフォーマットのKeepエリアに貼りだします。問題点は次のステップで取り扱います。

STEP4 問題点の対処優先度を決める

STEP3で出した問題点について、解決する優先度を決めます。問題点を挙げた人が詳細を説明し、解決にかかる時間と解決することで得られる効果を皆で話し合って考えましょう。

そして、問題点を書いた付箋を、Problemエリアにある4象限(効果の縦軸・時間の横軸)の該当する箇所に貼ります。これにより、赤い部分にある問題点(短期間で解決でき効果が大きい問題)は優先的に対処するべきだと分かります。

STEP5 解決策を考える

優先度が高いものから順に解決策を考えます。Problemエリアの赤い部分にある付箋をTryエリアに移し、実現可能な改善策を考え、付箋に書いて貼りつけます。

STEP6 解決策を実行し、効果を確認

解決策を考えたら実行し、実行後は効果を確認します。効果があった改善策はKeepエリアに移動させ、習慣化すればフォーマットから外します。効果がいまいちだった改善策は、もう一度案を練り直します。

優先度の高い問題点を処理し終えたら、Probemエリアに残っている優先度の低い問題点に取り掛かりましょう。このようにSTEP3〜6を繰り返し行うことで継続的な改善が可能です。

3. 当社の事例

当社では、業務効率化や働きやすい環境づくりを目的とした「ムダ取りプロジェクト」を開催し、KPTフォーマットを利用した改善活動を行っています。詳しい内容については、以下の記事で説明していますので、気になる方はぜひご覧ください。

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4. まとめ

この記事では、振り返りツール「KPT」のメリットや注意点、そして活用方法や当社の事例について説明しました。業務改善を目指す方にとって、役に立つ内容となっていれば幸いです。

当社では、継続的な改善活動を実施し、お客様に安心していただけるサービスの提供を心掛けています。HPに記載されていない案件でも誠意をもって対応させて頂きますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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