【QC検定4級】難易度や概要、勉強方法など詳細解説
投稿日:2022/5/27
QC検定4級は日本規格協会が主催する品質管理の基本について満遍なく問われる試験で、難易度は比較的「易しい部類」に入る資格です。合格率は80%を超えており、初めて品質管理を学ぶ人や、品質管理について基本的な知識を身につけたい人にとって、手を付けやすい資格となっています。この記事では、そんなQC検定4級の概要や勉強方法について説明しています。
1. QC検定4級の概要
QC検定とは、あらゆる業界で重要な品質管理の知識を問われる資格です。2005年に第1回試験が開始された比較的新しい資格で、累計1千万人以上の人が受験しています。試験の難易度によって1〜4級に分かれており、それぞれ受験対象となる人や試験内容が異なります。4級の場合、初めて品質管理を学ぶ学生や品質管理について知識の浅い新入社員の方々が対象となります。
4級以外については以下のリンクからどうぞ。
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1.1. QC検定4級を取得するメリット
QC検定4級を取得することで、就活時の履歴書や面接で品質管理の基本的な知識があること、そして勉強意欲や向上心があることを面接官へアピールできる材料となります。
また、品質管理は食品関連や家電製品、化粧品、IT関係など様々な業界において重要視されます。そのため、どんな職種においても品質管理の知識を持っていて損はありません。
1.2. QC検定4級の合格ラインは70%
4級の合格基準は総合得点概ね70%以上です。問題数が決まっているわけではなく、毎年おおよそ50〜90問の問題が出題されます。
1.3. 試験時間は90分
QC検定4級の試験時間は午前10:30〜12:00の90分間になります。
1.4. 回答方法はマークシート方式
全ての問題はマークシートで解答します。
1.5. 一般的に必要とされる勉強時間は30時間程度
品質管理について知識がない方が合格を目指す場合、おおよそ30時間の勉強時間を確保しましょう。1日1時間勉強すると仮定すれば、1か月程度の期間がかかります。すでに学校や仕事で品質管理について学んだことがある方は、少しの勉強時間でも合格可能でしょう。
2. 勉強方法
QC検定4級に合格するための勉強方法のポイントを解説いたします。
2.1. 問題集・過去問を購入し問題を解く
まず最初に問題集や過去問を使って実際に問題を解いてみましょう。問題を解くことで、試験の難易度や自分の苦手な箇所を知ることができます。
QC検定4級の過去問は、日本規格協会から発売されている過去問集を購入するか、専用アプリにて有料でダウンロードすることで入手できます。市販の問題集も販売されているので、そちらを購入して学習することもおすすめです。3章ではおすすめの書籍を紹介しているので、ぜひご確認ください。
2.2. 間違えた部分を復習する
問題を解いた後、間違えた部分を復習しましょう。テキストの該当箇所や問題集の解説を読んで、苦手な分野の理解を深めましょう。
テキストは日本規格協会から無料で配布されており、こちらからダウンロードできます。こちらでは分かりにくいと感じたら、市販のテキストを購入しましょう。
2.3. もう一度問題を解く
復習したあとはもう一度問題を解いてみましょう。正解率80%以上を目指して繰り返し学習を行いましょう。
3. おすすめの書籍
第33回(2022年3月)品質管理検定4級試験問題 1,100円(税込)
購入はこちら
日本規格協会から出版されているQC検定4級の過去問と基準解答のセットです。実際に行われた試験の内容が分かるので問題の傾向や解き方・難易度を把握できます。
過去問は公式アプリでも購入でき、試験2回分が730円、4回分が1220円、6回分が1340円と書籍版よりお得ですが、書籍版は実際の試験と同じ要領で問題を解き進めることができます。アプリ版は無料問題が3問用意されているので、試してみてから自分に合った方法を選ぶと良いと思います。
アプリ詳細はこちら
QC検定4級模擬問題集 1,320円(税込)
Amazonはこちら
問題数の多さと内容の見やすさがおすすめポイントです。付属の赤シートを利用して手軽に学習できます。出版されたのが2017年2月と少し古いので最新のテキストとともに勉強するのがおすすめです。
最新QC検定4級テキスト&問題集 1,760円(税込)
Amazonはこちら
2021年3月に発売されており、最新の試験情報が掲載されています。見やすいテキストと問題集が一冊にまとめてあり便利ですが、問題数が少ないため、不安な方は別で問題集や過去問を用意すれば万全な準備ができるでしょう。
4. 出題範囲
QC検定4級の出題範囲は大きく分けて品質管理の実践・品質管理の手法・企業活動の基本の3つです。それぞれの内容と問題例を紹介します。
品質管理の実践
品質管理の実践では、現場で活動するときに最低限必要な品質管理の考え方や専門用語の意味について以下のような内容が問われます。
- 品質管理 (品質とその重要性、品質優先の考え方、品質管理とは、お客様満足と狙いの品質、問題と課題、苦情・クレーム)
- 管理 (管理活動、仕事の進め方、PDCA、SDCA、管理項目)
- 改善 (改善、QCストーリー、3ム、小集団改善活動、重点指向)
- 工程 (前工程と後工程、工程の5M、異常とは)
- 検査 (検査とは、適合、不適合、ロットの合格・不合格、検査の種類)
- 標準・標準化 (標準化とは、国際・国家の色々な標準)
品質管理の手法
品質管理の手法では、データの扱い方や活用方法について以下の内容が問われます。計算問題も出題されるためしっかり勉強しておきましょう。
- 事実に基づく判断 (データの基礎、ロット、データの種類、データの取り方・まとめ方、平均とばらつきの概念、平均と範囲)
- データの活用と見方 (QC7つ道具、異常値、ブレーンストーミング)
【問題例】※QC検定4級試験サンプルより抜粋
【問】母集団の性質(姿)を知るために、一般にサンプルを取ってデータが採取される。このデータを用いて母集団の傾向をつかむときのポイント(検討事項)で最もよいと思われるものはどれか。
- a. 算術平均等で平均的(中心)傾向だけを検討する。
- b. 範囲等でばらつき傾向だけを検討する。
- c. どんなデータであっても数値そのものだけで検討する。
- d. データは必ずばらつくので、平均的(中心)傾向とばらつき傾向の両面を検討する。
- e. データにはばらつきがないので、データの数値そのものだけで検討する。
【問】データを大きく分類すると計量値と計数値のデータがある。次のデータ(特性項目)の中で計量値データはどれか。
- a. 毎月のクレーム件数
- b. 部品の寸法
- c. 使用設備の停止回数
- d. 1 製品あたりのキズの数
- e. 毎月の不適合品率
【問】日常いろいろなデータが取られている。データを取る目的で正しいものはどれか。
- a. データそのものの性質を知るため。
- b. データそのものを知るためでなく、母集団の性質を知って処置(アクション)をとるため。
- c. データを採取した場面の状況を知るため。
- d. データを採取する人に責任をもたせるため。
- e. データを取る目的はなく、場当たり的にデータを取ればよい。
企業活動の基本
企業活動の基本では、仕事を進めるうえで必要となる基本的なマナーや動き方、考え方について以下の内容が問われます。
- 製品とサービス
- 職場における総合的な品質(QCD+PSME)
- 報告・連絡・相談(ほうれんそう)
- 5W1H
- 三現主義
- 5ゲン主義
- 企業生活のマナー
- 5S
- 安全衛生(ヒヤリハット、KY活動、ハインリッヒの法則)
- 規則と標準(就業規則を含む)
【問題例】※QC検定4級試験サンプルより抜粋
【問】次のうち「三現主義」の説明として正しいものはどれか。
- a)問題解決の基本を成す言葉で、事実を見極めるために現場に3回以上通うことが大切との考え方(主義)である。
- b)現場で問題解決を行う時の品質管理手法を、考え方(主義)・展開の仕方・具体的事例を3冊 の小冊子で分かり易く解説してあり大変便利なのでこの名前がついている。
- c)一般的には、「現場・現物・現実」の3つの現をとって3現という。この3つを大切にして事実をよく見て仕事をするという態度を3現主義という。
- d)一人で3つ以上の現場について品質を担当することができる力量を持つと、品質管理をマス ターしたことになるという考え方(主義)のことである。
- e)ものごとを調べる基本で「現象、現状、現認」の3つをとって3現という。これは問題の初 期調査にあたって最も大切な事柄である。
5. 申込概要
5.1. 受験資格
特に制限はなく、どなたでも受験可能です。
5.2. 開催時期 年2回(3月と9月)
毎年3月下旬と9月上旬の2回開催されています。
5.3. 申込期間と方法
申込は開催月の約3か月前(12月と6月)に開始されます。33回QC検定(2022年3月20日)では以下の申込方法があり、それぞれ申込期間が異なっていました。受験する際には、前もって申込方法や期間を確認しておきましょう。
- ・個人申込【WEB受付・クレジットカード払い】
- 2021年12月6日(月)~2022年1月7日(金)
- ※最終日は17時締切
- ・個人申込【WEB受付・コンビニエンスストア払い】
- 2021年12月6日(月)~12月17日(金)
- ・団体B・学校B登録受付【30名以上・自主会場】
- 2021年12月6日(月)~12月20日(月)
- ※最終日は17時締切
5.4. 受験料
2022年9月4日に実施予定の第34回試験から受験料が値上げされ、税込みで以下の価格になっています。
- 3 級 5,170 円
- 4 級 3,960 円
- 3・4 級併願 8,250 円
3・4級を併願する場合、それぞれ別で受けるより880円お得に受験できます。受付が完了すると原則キャンセルや払い戻しはできないので、受ける級や日時を間違えないようにしましょう。
5.5. 開催地は全国約120か所
QC検定は全国約50都市120か所で開催されています。受験地域については、申込時に希望地域を指定できますが、試験会場は選べず、過去に開催された会場も公開されていません。具体的な受験会場は、申し込み後に自宅へ届く受験票に記載されるのでそちらで確認しましょう。選択した受験地の希望者が多かった場合は抽選が行われ、当落結果はメールで知らされます。
以下は第33回試験(2022年3月20日)の開催地です。1級の開催地は限られているため注意しましょう。
5.6. 持ち物
QC検定4級を受ける時に必要な持ち物です。試験当日は忘れないようにしましょう。
- 筆記用具…黒の鉛筆・シャープペンシル(HBまたはBに限る)・消しゴムを持参しましょう。
- 受験票…受験者本人の写真を貼っていない場合は受験できないので、忘れずに貼りましょう。
- 時計…時計がない会場もあるため、腕時計を持参しましょう。
- マスク…新型コロナウイルス感染防止対策のために着用しましょう。
6. まとめ
今回の記事では、QC検定4級について概要や出題範囲、勉強方法について説明しました。QC検定4級について知りたい方や、QC検定4級を受けようと思っている方にとって役に立つ記事となれば幸いです。
弊社では、従業員のスキルアップやものづくりにおける品質への理解を深めることを目的に、QC検定の取得を推奨しており、資格取得支援を行っております。従業員の品質に対する意識を高めることが、サービスの安定と信頼に繋がると考えております。外注を検討されているお客様の不安を少しでも取り除くため、弊社ではこのような取り組みを行っております。