製造委託のメリットとは?人材派遣との違いを説明!
投稿日:2024/2/16
人材不足や需要変動など外部環境が目まぐるしく変化する中、企業には多様化するニーズに対応できる柔軟性が求められています。ただ、製造に必要な人材・場所・設備などのリソース全てを自社で用意するべきかというと、そうでないケースも考えられます。
そんな時に役に立つのが「製造委託」です。製造工程を外部に委託することで依頼元企業はよりコア業務に集中でき業務効率化が期待できます。この記事では初めてのアウトソーシングでお困りの方や製造委託について知識を付けたい方向けに以下の内容を説明しています。
1. 製造委託とは?
製造委託とは、自社製品の製造工程の一部または全てを他社に依頼することです。組立・検品のみなどピンポイント作業の依頼もできますし、技術力を持つスタッフが在籍している企業もあるので専門的な業務の委託も可能です。
製造委託では、依頼元企業と委託先企業は業務委託契約を結びます。委託先企業が労働者への指示命令権を持っているため、依頼元企業は委託先企業に採用・教育・管理といった業務を一任できるのが製造委託の特徴です。
1.1. 製造委託普及の背景
近年、日本では労働人口が減少する一方で製品ライフサイクルの短命化が進んでいます。総務省はこの先労働人口の減少はますます深刻化すると予想しており、企業には「限られた人材で顧客ニーズの変化に対応できるフレキシブルな生産体制」が求められています。そんな中、自社リソースに依存しない柔軟で戦略的な経営ができる製造委託を利用する企業が増えています。
次の章では、製造委託のメリットについて詳しく説明しています。
1.2. 製造委託のメリット
製造委託には以下のようなメリットがあります。
- コア業務に集中できる
- 需要変動へ柔軟に対応できる
- スタッフの負担・コストを削減できる
- 長期的に外部人材を活用できる
コア業務に集中できる
コア業務とは新事業や新製品の開発のような利益に直結する業務のことです。一方、組立や検査などコア業務を支える業務をノンコア業務といいます。比較的重要度の低いノンコア業務を外部へ委託し、自社の教育を施した社員とコストをコア業務に集中させることで、適材適所でムダのない経営が可能になります。
需要変動へ柔軟に対応できる
繁忙期やメーカーから増産要請があった時、必要な期間だけ製造委託を利用できます。自社のみで短期的な増産に対応する場合、直接雇用の社員を増やせば固定費は増大し、社員を増やさないとすれば残業が増えスタッフに負担がかかります。そこで増加した業務のみを外部へ委託すれば、社員の負担やコストを抑えながらニーズの変化に対応できます。
スタッフの負担やコストを削減できる
製造委託を利用すると以下のようにスタッフの負担やコストの削減が出来る可能性があります。
- 雇用にかかる固定費を変動費にできるため経費削減につながる
- 管理や教育等の業務負担も委託先へ一任できる
- 自社の場所・設備・人材等のリソース不足を補える
長期的に外部人材を活用できる
正社員比率を削減する方法として人材派遣がありますが、労働者派遣法により同じ派遣先で3年を超えて働くことは原則できません。その点、製造委託ならこの規定の対象にならないため、コンプライアンスを尊守しつつ長期的に外部人材を活用できます。
1.3 委託先選定時の注意するポイント
製造委託には様々なメリットがありますが、選定時には以下のポイントに注意しましょう。
委託先選定時のポイント
- 過去の取引実績や保有資格を確認し信頼できる協力会社か判断する
- 負荷のかかる立ち上げからハンドリングしてもらえるか確認する
- 製造に十分な技術力を保有しているか確認する
- 自社・協力会社・納品先の立地を考え、ムダな運搬が発生しないようにする
- 情報漏洩を避けるため秘密保持契約を結ぶなど対策をする
2. 製造委託以外の選択肢は?
外注先を決める時、委託以外の選択肢として「人材派遣」を考えている方も多いのではないでしょうか?この章では人材派遣の概要とメリットを説明しています。3章では製造委託と人材派遣を比較しているので、自社に適切な契約形態を考える時にお役立てください。
2.1. 人材派遣の概要
人材派遣とは、派遣会社が雇用している労働者を依頼元企業に派遣し業務を行うサービスです。従業員への指揮命令権は依頼元企業にありますが、直接的な雇用関係は結びません。
2.2. 人材派遣のメリット
人材派遣を利用することで以下のようなメリットがあります。
- 採用・人件費・管理費等のコストを削減できる
- 短期間での人材確保が可能なのですぐに人手不足を解消できる
- ルーティンワーク等のノンコア業務を派遣スタッフに任せることで、社員がコア業務に集中できる
- 依頼元企業が労働者へ直接指示できる
3. 製造委託と人材派遣の違い
製造委託と人材派遣の大きな違いは「報酬が発生する対象」と「指揮命令権の有無」です。
製造委託では納品される成果物または業務の遂行に報酬が発生し、委託先企業が労働者に指示を行います。人材派遣では作業時間に報酬が発生し、依頼元企業が労働者へ直接指示をします。
以下の表では製造委託、人材派遣、自社のみで業務を行う場合の3パターンを比較しています。委託先によって誤差はありますが、目安としてご参考になれば幸いです。
製造委託を利用すれば、企業は自社のスタッフや資金を新商品の開発・設計など付加価値を生む「コア業務」に集中させることができます。人材不足が加速する中、自社の社員を最小限に抑えることで、労務管理業務などの事務作業を効率化することが可能です。「コア業務に集中し業績を伸ばしたい」と考えている企業にとって、製造委託を検討することは大きな価値を生む可能性があります。
4. まとめ
この記事では、製造委託の概要やメリット、そして実際に委託先を選定するときの注意点を説明しました。また、人材派遣のメリットや製造委託との違いを比較しました。製造のアウトソーシングでお困りの方のお役に立てれば嬉しいです。
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