【QC検定1級】難易度や概要、勉強方法など詳細解説
投稿日:2023/6/26
QC検定1級は日本規格協会が主催する品質管理について問われる試験で、難易度は「とても難しい部類」に入る資格です。合格率は5%前後で、品質問題解決をリードできるスタッフやリーダーなど、指導者の立場で品質管理を進める方が対象です。この記事では、そんなQC検定1級の概要や勉強方法について説明しています。
1. QC検定1級の概要
QC検定とは、あらゆる業界で重要な品質管理の知識を問われる資格です。2005年に第1回試験が開始された比較的新しい資格で、累計1千万人以上が受験しています。試験の難易度によって1〜4級に分かれており、それぞれ受験対象となる人や試験内容が異なります。
1級の場合、品質に関わる部署のスタッフやリーダーなど品質活動を指導する方が対象です。ある程度実務経験があり、さらにステップアップを目指す方が主に受験しています。
1級の難易度はQC検定の中で最も難しく、2級よりもさらに踏み込んだ統計学の計算問題に加えて、論述形式の問題が出題されるため人に説明できるレベルまで理解を深める必要があります。
1級以外については以下のリンクからどうぞ
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1.1. QC検定1級を取得するメリット
QC検定1級を取得することで、様々な問題に対して自ら主導して解決する力が身に付きます。製造業で働く方にとっては、品質管理部門のリーダーや管理職へキャリアアップするための手助けとなるでしょう。
また、QC検定1級は民間資格ですが転職でも有利になる資格です。近年は企業のミスやクレーム等の情報がネット上に出回ることが多く、様々な企業で品質意識が高まっています。そんな中、品質管理に強い人材を求めている企業は少なくありません。特に1級は難易度が高く合格者数も少ないため、合格できれば市場価値の高い人材となれるでしょう。
1.2. 合格ラインは、マークシート70%以上+論述70%以上
1級は、マークシート形式の一次試験と、論述形式の二次試験で構成されています。
一次試験(マークシート)の合格基準は各分野(品質管理の実践・品質管理の手法)の得点が概ね50%以上かつ総合得点が概ね70%以上です。二次試験(論述)の合格基準は総合得点70%以上です。
一次試験のみ合格した場合は準1級に認定され、直後に開催される試験のみ一次試験を免除できます。
1.3. 試験時間は2時間(マークシート:90分、論述:30分)
QC検定1級の試験時間は13:30~15:40の2時間(マークシート:90分、論述:30分)です。
1.4. 一般的に必要とされる勉強時間は300時間程度
品質管理について知識がない方が合格を目指す場合、約300時間勉強する必要があると言われており、1日1時間勉強すると仮定すれば約10カ月の期間がかかります。平日仕事で時間がない人は、休日多めに勉強するなど工夫して時間を確保しましょう。
2. おすすめ書籍と勉強方法
QC検定1級に合格するための勉強方法を説明します。以下の書籍を用意し、学習に取り組むのがおすすめです。
2.1. おすすめ書籍
【新レベル表対応版】QC検定受検テキスト1級 (品質管理検定集中講座[1]) ¥5,280
2016/6/29 細谷 克也 (著), 稲葉 太一 (著), 竹士 伊知郎 (著), 松本 隆 (著), 吉田 節 (著), 和田 法明 (著)
☆4.2 Amazonはこちら
「過去問題で学ぶQC検定1級 2022・2023年版」 ¥4,950
※数年に一度出版されています。
2022/8/2 仁科 健 (監修), QC検定過去問題解説委員会 (著)
☆3.4 Amazonはこちら
2.2 勉強方法
①テキストを一通り読む(例題は飛ばす)
まずは練習問題を飛ばしながらテキストを一通り読み、試験内容を把握しましょう。この段階ではあまり時間をかけず、大まかな内容を理解できればオッケーです。
②過去問を時間通りに解く
テキストを一通り読み終えたら、一回分の過去問を実際の試験時間通り(マークシート90分、論述30分)に解きます。考えても分からない問題は飛ばしながら、テキストや解答は見ずに自力で解いてみましょう。これにより、試験の難易度や傾向、苦手な分野や解答時間が分かります。
➂解答を見ながら答え合わせをする(解説は見ない)
過去問を解き終わったら、解説は見ないで解答だけを見ながら答え合わせをしましょう。解説を読んで理解したつもりでも、表面上の知識だけが身について自分で解けるレベルには到達していないことが多いからです。解説部分はあらかじめ切り取って別の場所に保管しておくなど工夫するのもおすすめです。
④間違えた問題はテキストから調べて自力で解く(解説は見ない)
間違えた問題は解説を見ずに、テキストから調べて自力で解いてみましょう。自分で調べて答えを導き出すからこそ、解く力が身に付きます。
⑤別の過去問で②~④を繰り返す
過去問一回分が終わったら、別の過去問を②〜④の流れで解いていきます。用意していた過去問を1周解き終わったら2周目に入り、正解した部分を含む全ての問題を再度解きなおします。正解率90%以上を目指して繰り返し解いてみましょう。
3. 出題範囲
QC検定1級の出題範囲は大きく分けて品質管理の実践・品質管理の手法の2つです。それぞれの内容と問題例を紹介します。
3.1. 品質管理の実践
品質管理の実践では、現場での活動で使用される品質管理の考え方や用語について、以下のような内容が問われます。
■品質の概念
■品質保証:新製品開発
■品質保証:プロセス保証
■品質経営の要素:方針管理
■品質経営の要素:機能別管理
■品質経営の要素:日常管理
■品質経営の要素:標準化
■品質経営の要素:人材育成
■品質経営の要素:診断・監査 ・品質監査 ・トップ診断
■品質経営の要素:品質マネジメントシステム
■倫理・社会的責任【定義と基本的な考え方】
■品質管理周辺の実践活動
【問題例】※QC検定1級見本問題より引用
論述問題も出題されます。
3.2. 品質管理の手法
品質管理の手法では、データの扱い方や活用方法について以下の内容が問われます。計算問題も出題されるため、公式を覚えるなどしっかり予習しておきましょう。
■データの取り方とまとめ方
■新 QC 七つ道具
■統計的方法の基礎
■計量値データに基づく検定と推定
■計数値データに基づく検定と推定
■管理図
■工程能力指数
■抜取検査
■実験計画法
■ノンパラメトリック法【定義と基本的な考え方】
■感性品質と官能評価手法【定義と基本的な考え方】
■相関分析
■単回帰分析
■重回帰分析
■多変量解析法
■信頼性工学
■ロバストパラメータ設計
【問題例】※QC検定1級見本問題 より引用
4. 申込概要
4.1. 受験資格
特に制限はなく、どなたでも受験可能です。
4.2. 開催時期 年2回(3月と9月)
毎年3月下旬と9月上旬の2回開催されています。
4.3. 申込期間と方法
申込期間は開催月の約3か月前(12月と6月)に開始され、おおよそ3週間です。第36回QC検定(2023年9月3日開催予定)では以下の申込方法があり、それぞれ申込期間が異なっています。受験する際には公式HPから前もって申込方法や期間を確認しておきましょう。
- ・個人申込【WEB受付:クレジットカード払い】
2023年6月2日(金)~2023年7月4日(火)
- ・個人申込【WEB受付:コンビニ店頭払い(現金)/楽天ペイ・LINE Pay】
- 2023年6月2日(金)~6月23日(金)終日
- ・団体登録受付【団体A/団体B共通】
- 団体登録期間:2023年6月2日(金)~6月23日(金)
- 団体登録後の申込書アップロード:2023年6月2日(金)~7月4日(火)
4.4. 受験料
個人申込の場合、受験料は税込みで以下の価格になっています。
1級 11,000円
1・2級併願 15,730円
併願すると別々に受けるよりもお得に受験できます。受付が完了すると原則キャンセルや払い戻しはできないので、受ける級を間違えないようにしましょう。
4.5. 開催地は全国約120か所
QC検定は全国約50都市120か所で開催されています。受験地域については、申込時に希望地域を指定できますが、試験会場は選べず過去に開催された会場も公開されていません。具体的な受験会場は、申し込み後に自宅へ届く受験票で確認しましょう。選択した受験地の希望者が多かった場合は抽選が行われ、当落結果はメールで知らされます。
以下は第36回試験(2023年9月3日開催)の開催地です。1級の開催地は限られているため注意しましょう。
4.6. 持ち物
QC検定1級を受ける時に必要な持ち物です。試験当日は忘れないようにしましょう。
- 筆記用具…黒の鉛筆・シャープペンシル(HBまたはBに限る)・消しゴムを持参しましょう。
- 受験票…受験者本人の写真を貼っていない場合は受験できないので、忘れずに貼りましょう。
- 時計…時計がない会場もあるため、腕時計を持参しましょう。
- 電卓…√(ルート)付きの一般的な電卓1台のみ持ち込みできます。関数電卓は持ち込みNGなので注意しましょう。
- マスク…新型コロナウイルス感染防止対策のために着用しましょう。
5. まとめ
今回の記事では、QC検定1級について概要や出題範囲、勉強方法について説明しました。QC検定1級について知りたい方や、QC検定1級を受けようと思っている方にとって役に立つ記事となれば幸いです。
当社では、従業員のスキルアップやものづくりにおける品質への理解を深めることを目的に、QC検定の取得を推奨しており、資格取得支援を行っております。従業員の品質に対する意識を高めることが、サービスの安定と信頼に繋がると考えております。外注を検討されているお客様の不安を少しでも取り除くため、弊社ではこのような取り組みを行っております。