【QC検定2級】難易度や概要、勉強方法など詳細解説
投稿日:2022/12/23
QC検定2級は日本規格協会が主催する品質管理の基本について満遍なく問われる試験で、難易度は比較的「難しい部類」に入る資格です。合格率は20〜40%程度で、管理職や品質管理にかかわる部署のスタッフ・リーダーなど品質管理をリードして行う方が対象です。この記事では、そんなQC検定2級の概要や勉強方法について説明しています。
1. QC検定2級の概要
QC検定とは、あらゆる業界で重要な品質管理の知識を問われる資格です。2005年に第1回試験が開始された比較的新しい資格で、累計1千万人以上の人が受験しています。試験の難易度によって1〜4級に分かれており、それぞれ受験対象となる人や試験内容が異なります。
2級の場合、自部門の品質問題解決を行うスタッフや品質にかかわる部署の管理職・スタッフの方々が受験対象とされています。2級の難易度は3・4級と比べるとかなり高くなっています。なぜなら、統計学の計算問題が出題されるからです。合格するためには公式や計算方法を覚える必要があるため、数学が苦手な方にとっては難しいと感じるかもしれません。
2級以外については以下のリンクからどうぞ
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【QC検定4級】難易度や概要、勉強方法など詳細解説
1.1. QC検定2級を取得するメリット
QC検定2級を取得することで、品質にかかわる管理や改善活動を自主的行えるような知識が身につきます。品質管理に携わる仕事を担当している方は学んだ知識を実践で活用できます。
また、QC検定2級も持っていれば、指導を受けて作業を行うだけでなく作業の指示や評価もできるため、職務の幅が広がり転職時に有利になるでしょう。
1.2. 合格ラインは、各分野50%以上かつ総合70%以上
2級の合格基準は各分野(品質管理の実践・品質管理の手法)の得点が概ね50%以上かつ総合得点が概ね70%以上です。
1.3. 試験時間は90分
QC検定2級の試験時間は午前10:30〜12:00の90分間になります。
1.4. 回答方法はマークシート方式
全ての問題はマークシートで解答します。
1.5. 一般的に必要とされる勉強時間は200時間程度
品質管理について知識がない方が合格を目指す場合、おおよそ200時間勉強する必要があると言われています。1日1時間勉強すると仮定すれば、7カ月程度の期間がかかります。すでに学校や仕事で品質管理について学んだことがある方や統計学の知識がある方は100時間程度の勉強時間でも合格可能でしょう。
2. 勉強方法
QC検定2級に合格するための勉強方法のポイントを解説いたします。過去問集とテキストを購入し、学習に取り組みましょう。
2.1. 問題集・過去問を購入し問題を解く
まず最初に過去問を使って実際に問題を解いてみましょう。過去問を解くことで、試験の難易度や傾向、問題を解くのにかかる時間を体感できます。また、自分の苦手な分野を把握することもできます。
2.2. 間違えた部分を復習する
問題を解いた後、間違えた部分を復習しましょう。テキストの該当箇所や問題の解説を読んで、苦手な分野の理解を深めましょう。
テキストを読んでも分かりづらいところは解説サイトやYouTubeに上がっている解説動画を見て学習する方法もあります。
2.3. もう一度問題を解く
復習したあとはもう一度問題を解いてみましょう。正解率80%以上を目指して繰り返し学習を行いましょう。
3. おすすめの書籍
3.1. 過去問題で学ぶQC検定2級2022年 3,520円(税込)
2021/12/27 仁科健(監修)QC検定過去問題解説委員(著)
評価:☆4.2
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おすすめの書籍はこちらです。過去6回分の試験問題と分かりやすい解答・解説がついています。
3.2. 1回で合格!QC検定2級テキスト&問題集 3,100円(税込)
2016/1/1 高山均(著)
評価:☆3.7
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おすすめのテキストはこちらです。赤シート付きで手軽に学習ができます。ただ、付属の問題が実際の問題より簡単なものが多いため、過去問と併用して利用することをおすすめします。
4. 出題範囲
QC検定2級の出題範囲は大きく分けて品質管理の実践・品質管理の手法の2つです。それぞれの内容と問題例を紹介します。
品質管理の実践
品質管理の実践では、現場で活動するときに使用される品質管理の考え方や用語について、以下のような内容が問われます。
- QC的ものの見方・考え方
- 品質の概念
- 管理の方法
- 品質保証:新製品開発【定義と基本的な考え方】
- 品質保証:プロセス保証【定義と基本的な考え方】
- 品質経営の要素:方針管理
- 品質経営の要素:機能別管理【言葉として】
- 品質経営の要素:日常管理
- 品質経営の要素:標準化【定義と基本的な考え方】
- 品質経営の要素:小集団活動
- 品質経営の要素:人材育成【定義と基本的な考え方】
- 品質経営の要素:診断・監査【定義と基本的な考え方】
- 品質経営の要素:品質マネジメントシステム【定義と基本的な考え方】
- 倫理・社会的責任【言葉として】
- 品質管理周辺の実践活動【言葉として】
<問題例>※QC検定2級見本問題より抜粋
【問】次の文章で正しいものには〇印を、誤っているものには×印を解答欄に記入せよ。
- (1)品質保証体系図では、どのような活動が、どのような順序で、どの部門が担当して実施するのかが明らかにされている。
- (2)QCストーリーは、改善活動のプロセスや手順を活動計画書にまとめたり、発表するときにつかう筋書きである。
- (3)工程管理とは、工程の出力である製品やサービスの特性のばらつきを低減し、維持する活動のことである。
- (4)品質計画とは、個別のプロジェクト、製品、プロセス又は契約に対して、どの手順及びどの関連する資源が誰によって、いつ適用されるかを規定する文書のことである。
- (5)解決すべき問題を特性で分類した場合、低減することが望ましいが、理論的にゼロとすることが一般的には不可能な特性についての問題をゼロ問題と呼ぶ。
- (6)重点志向とは、品質を優先的に第一に取り上げ、顧客が魅力を感じて買ってくれ、使ってみて喜んでくれるような、品質保証のされた、満足度の高い製品やサービスを作り出していくことである。
- (7)品質保証とは、要求される品質が十分に満たされていることを保証するために、消費者が行う体系的活動のことである。
- (8)問題解決のアプローチには、問題解決型と課題達成型の2つがある。両者のねらいは異なるが、手順は同一である。
- (9)QCストーリーは、職制の理解とバックアップがないと、単なる勉強会に終わってしまい永続しない。
- (10)プロセスにもとづくマネジメントの実施とは、目標とそれを達成するためのプロセスを定め、そのとおり実行し、得られた結果を確認し、必要な処置をとることである。
- (11)PLP(製造物責任予防)の活動は、PS(製品安全)のための活動と同一である。
- (12)問題解決にあたっては、管理技術または固有技術のどちらか一方を選択し、用いなければならない。
- (13)社内標準化は、顧客に対する品質保証と企業活動の効率化を図るために、企業の技術と経験を結集し、社内の関係者の同意の下に、最適な仕事の仕方と管理の基準を設定し、それを活用していく組織的行為をいう。
- (14)ISO9001は、品質管理、品質保証の仕組みに対する要求事項であり、製品品質そのものを規定していない。
- (15)ISO9001で要求している内部監査は、品質マネジメントシステムを組織自らがチェックするものであり、規格要求事項に対する適合性のみを判定する。
【問】次の文章において、[]の中に最も適切なものを各下欄の中からひとつ選び、その記号を解答欄に示せ。
(1)トップマネジメントは、方針によるマネジメントを効果的かつ効率的に実施するために、次の事項に注意すべきである。
- 1.組織の使命、経営環境などに基づく[①]を策定する。
- 2.[①]に基づく[②]を策定する。
- 3.[②]を組織全体に展開する。
- 4.[②]の展開時に[③]が確定できない場合、[④]を結成し、[③]の立案及び実施を行わせる。
- 5.[②]の達成度及びその[⑤]を評価する。
【選択肢】(ア)短期経営計画 (イ)中長期経営計画 (ウ)目標 (エ)目的 (オ)方針 (カ)方策 (キ)部門横断チーム (ク)部門単独チーム (コ)結果 (サ)プロセス
(2)社内標準は、[①]化され、権威を持ち、[②]力を持っていることが必要である。さらに、社内標準は[③]的なデータにより取り決められていて、[④]的であって、具体的かつ明確に示されなければならない。
【選択肢】(ア)統一 (イ)客観 (ウ)成文 (エ)強制
品質管理の手法
質管理の手法では、データの扱い方や活用方法について以下の内容が問われます。計算問題も出題されるため、公式を覚えるなどしっかり予習しておきましょう。
- データの取り方とまとめ方
- 新QC七つ道具
- 統計的方法の基礎
- 計量値データに基づく検定と推定
- 計数値データに基づく検定と推定
- 管理図
- 抜取検査
- 実験計画法
- 相関分析
- 単回帰分析
- 信頼性工学
<問題例>※QC検定2級見本問題より抜粋
【問】次に示すそれぞれの特性を管理図を使って管理したい。最も適切な管理図を下記の解答群から選び、その記号を解答欄に記入せよ。ただし、同じ記号を重複して用いてよい。
- (1)生産量が一定な電気部品の接点不良個数(日々管理)
- (2)成型品の重量、毎日ランダムに5個抜き取り測定(日々管理)
- (3)鋼鈑一定面積の表面の擦りキズの数(単位面積当たりの管理)
- (4)数種類の大きさがある液晶パネルの表面不良の数(パネルごとに管理)
- (5)コンクリート製品の破壊強度を1回/日測定(日々管理)
【解答群】(A)X−R管理図 (B)x管理図 (C)c管理図 (D)u管理図 (E)p管理図 (F)pn管理図(または、np管理図)
【問】次の文章で正しいものに〇、正しくないものには×を解答欄に記入せよ。
- (1)統計的方法を用いてある品質特性に関して結論が得られた場合、固有技術的な解釈を行った上で、総合的な結論を導くことが望ましい。
- (2)統計的方法を用いるにあたって、用いる手法が決まっているならば、データのグラフ化を行わずにただちに数値的な解析を行うのがよい。
- (3)品質管理で統計的方法を用いる際にもっとも基本となる分布が正規分布である。正規分布は左右対称の形をしている。
【問】下図に示す製品は、部品AとBをそれぞれ別のラインで製造し、その部品を用いて組立工程で製品化している。この製品の重要品質特性は、寸法zであり、社内規格は50.0±1.0(mm)となっている。最近製造した部品100個から統計量を求めたところ、平均値 x̄、ӯともねらい値とほぼ一致しているのが確認できた。また、寸法xとyの標準偏差は以下のとおりである。つぎの小問に答えよ。
D(x)=0.215(mm) D(y)=0.106(mm)
(1)製品の寸法zの標準偏差D(z)はいくらか。下欄の中から選び、その記号を解答欄に示せ。ただし、各寸法は正規分布に従っているものとする。
標準偏差D(z):(ア)0.240 (イ)0.187 (ウ)0.0575 (エ)0.0350
なお、工程能力指数はCp=1.39と計算される。
5. 申込概要
5.1. 受験資格
特に制限はなく、どなたでも受験可能です。
5.2. 開催時期 年2回(3月と9月)
毎年3月下旬と9月上旬の2回開催されています。
5.3. 申込期間と方法
申込期間は開催月の約3か月前(12月と6月)に開始され、おおよそ3週間です。35回QC検定(2023年3月19日開催予定)では以下の申込方法があり、それぞれ申込期間が異なっています。受験する際には、こちらから前もって申込方法や期間を確認しておきましょう。
- ・個人申込【WEB受付:クレジットカード払い】
- 2022年12月5日(月)~2023年1月6日(金)
- ※最終日は17時締切です。
- ・個人申込【WEB受付:コンビニ店頭払い(現金)/楽天ペイ・LINE Pay】
- 2022年12月5日(月)~12月16日(金)
- ・団体登録受付【団体A/団体B共通】
- 2022年12月5日(月)~12月19日(月)
- ※最終日は17時締切です。
5.4. 受験料
第34回試験(2022年9月4日)から受験料が値上げされ、税込みで以下の価格になっています。
- 2級 6,380円
- 1・2級併願 15,730円
- 2・3級併願 10,450円
他の級と併願する方が、別々に受けるよりもお得に受験できます。
受付が完了すると原則キャンセルや払い戻しはできないので、受ける級を間違えないようにしましょう。
5.5. 開催地は全国約120か所
QC検定は全国約50都市120か所で開催されています。受験地域については、申込時に希望地域を指定できますが、試験会場は選べず、過去に開催された会場も公開されていません。具体的な受験会場は、申し込み後に自宅へ届く受験票に記載されるのでそちらで確認しましょう。選択した受験地の希望者が多かった場合は抽選が行われ、当落結果はメールで知らされます。
以下は第35回試験(2023年3月19日開催予定)の開催地です。1級の開催地は限られているため注意しましょう。
5.6. 持ち物
QC検定2級を受ける時に必要な持ち物です。試験当日は忘れないようにしましょう。
- 筆記用具…黒の鉛筆・シャープペンシル(HBまたはBに限る)・消しゴムを持参しましょう。
- 受験票…受験者本人の写真を貼っていない場合は受験できないので、忘れずに貼りましょう。
- 時計…時計がない会場もあるため、腕時計を持参しましょう。
- 電卓…√(ルート)付きの一般的な電卓1台のみ持ち込みできます。関数電卓は持ち込みNGなので注意しましょう。
- マスク…新型コロナウイルス感染防止対策のために着用しましょう。
6. まとめ
今回の記事では、QC検定2級について概要や出題範囲、勉強方法について説明しました。QC検定2級について知りたい方や、QC検定2級を受けようと思っている方にとって役に立つ記事となれば幸いです。
弊社では、従業員のスキルアップやものづくりにおける品質への理解を深めることを目的に、QC検定の取得を推奨しており、資格取得支援を行っております。従業員の品質に対する意識を高めることが、サービスの安定と信頼に繋がると考えております。外注を検討されているお客様の不安を少しでも取り除くため、弊社ではこのような取り組みを行っております。