工場で欠かせない静電気対策!効果的な対策方法やおすすめグッズを紹介
投稿日:2022/12/2
私たちの生活に身近に存在している静電気。工場などの製造現場では品質問題や事故に繋がる可能性があるため、特にしっかりと対策する必要があります。この記事では、工場での静電気対策方法やおすすめのグッズを紹介しています。これから工場で静電気対策を行う方や自社工場の静電気対策が正しく行えているのか確かめたい方にぜひ読んでいただきたい記事です。
- 【目次】
- 1. 静電気とは?
- 2. 工場で起こる静電気問題
- 3. 静電気の放電が起こる理由
- 4. 工場の静電気対策方法
- 5. おすすめの静電気対策グッズを紹介
- 6. オーエスの静電気対策事例
- 7. まとめ
1. 静電気とは?
静電気とは、物体に溜まっている電気のこと、または電気が物体に溜まっている状態のことを指します。一般的には、ドアノブに触れた瞬間「バチっ」とくる痛みが「静電気」と呼ばれていますが、正確にはこれは「静電気によって起きた放電」です。
普段の生活の中にもありふれている静電気ですが、日々製造を行う工場では特に注意して対策を行う必要があります。なぜなら、静電気による放電は様々な品質問題を引き起こす可能性があるからです。次の章では、工場内で発生しがちな静電気問題をご紹介します。
2. 工場で起こる静電気問題
工場で起きやすい静電気問題は以下のようなものがあります。
- 【良品率の低下】
- 電子部品や精密機器は静電気の放電が原因で「静電破壊」が起こり故障することがある
- 静電気により製品にほこりやゴミが付着し、基準に満たない不良品が増える
- 【生産性の低下】
- フィルムやプラスチックなどの素材が静電気を帯びることで、張り付いた素材同士をはがすなどの作業に時間がかかる
- 静電気によるノイズで設備が誤作動を起こし復旧に時間がかかる
- 【事故】
- 静電気が放電し周りの素材に引火することで火災事故につながる
- 静電気の放電によるケガや、放電に驚いたことで物を落としてしまいケガにつながる
上記のような問題が発生すると品質問題に発展し、企業は顧客からの信頼を失ってしまいます。たかが静電気と甘く見るのではなく、きちんと対策をする必要があります。
2.1. 静電破壊(ESD破壊)とは?
特に電子部品を取り扱っている工場では「静電破壊」に気を付けなければなりません。静電破壊とは、放電による熱で電子部品が破壊されることです。最近では部品の小型化・軽量化が進み、静電気に対して非常にデリケートになってきています。
例えば、最近テレビやSNSで半導体という言葉を耳にする機会が増えましたが、その半導体は約100Vの電圧がかかるだけで静電破壊が起こる可能性もあります。人間が痛みを感じる電圧が3kV(100vの30倍)と言われているため、いかに微量な静電気が静電破壊を引き起こすか想像できます。
ちなみに、人体の帯電電圧と電撃の強さの関係は以下の通りです。
3. 静電気の放電が起こる理由
静電気の放電が起こる原因は、電圧に差(電位差)があるもの同士が接触することです。例えば、図のように人体が10kV、ドアノブが0Vの状態で手がドアノブに触れると放電が起きます。電圧が高いほうから低いほうに放電され、両者の電位差を無くしバランスを保とうとします。
したがって、電位差をなくすことで静電気の放電が発生しない状況を作ることができます。次の章では、具体的な静電気対策方法を紹介します。静電気による問題が起こらないようにしっかりと対策を行いましょう。
4. 工場の静電気対策方法
ここでは効果的な静電気対策方法を3つ紹介します。これらの静電気対策を組み合わせることで、より静電気が発生しづらく、発生しても除去できるような環境を作ることができます。
4.1. アース(接地)する
まず静電気対策の基本といえるアースを紹介します。アースとは、導体を地面と繋ぐこと、または導体と地面を繋ぐ装置のことを指します。導体とは、金属や人体のような電気を通しやすい物質のことです。アース(接地)すると導体にたまった静電気を地面へ逃がすことができるので、静電気を帯びていない安定した状態に保つことができます。
導体を画像赤枠のアース線に接続することで、静電気の逃げ道を作ることができます。
アースのメリット
アースすると以下のようなメリットがあります。
- 接地するだけなので簡単に導入できる
- 金属・人体などの導体に効果が大きい
アースの注意点
アースするときは以下の点に気を付ける必要があります。
- ガラスやゴム・樹脂などの電気を通さない性質を持つ絶縁体には効果がない
- アース端子がない場合は業者に依頼する必要がある
4.2. 除電する
除電とは、帯電した物質や物体から静電気を除去することを指します。
除電のメリット
除電することで以下のようなメリットがあります。
- 導体と絶縁体の両方に効果がある
- 瞬時に静電気を除去できる
除電の注意点
除電するときは以下のことに注意しましょう。
- イオナイザー(除電器)が必要になる
- 帯電する場所が複数ある場合は、多くの場所にイオナイザーを設置する必要がある
4.3. 加湿する
空間を加湿することで空気中の水分量を増やし静電気の逃げ道を作ることができ、静電気をためにくい環境を作ることができます。
加湿のメリット
加湿すると以下のようなメリットがあります。
- 生産機械周辺や工場全体を帯電しにくい環境にできる
- 従業員の風邪予防ができる
加湿の注意点
加湿を行うときには、以下のことに注意する必要があります。
- 帯電したものを除電するのには時間がかかる
- 適切な湿度設定を行わないと錆の原因になる可能性がある
5. おすすめの静電気対策グッズを紹介
前章で紹介した静電気対策を行うために必要な道具は以下の通りです。この章では、事業者向け通販サイト「モノタロウ」で購入できるおすすめのグッズを紹介しています。価格や性能など、製造する製品や規定・工場の規模に合わせて自社に合ったものをお選びください。
5.1. アース(接地)するためのグッズ
リストストラップ
人体の静電気を逃がし感電を防ぐために用いられるのがリストストラップです。作業台で手を使って行う作業で主に使用されます。
静電気対策マット
静電気対策マットは導電性と帯電防止用の大きく分けて二種類あります。導電性のマットは静電気が帯電した場合に素早くアースラインへ逃がすことができ、帯電防止マットは作業員から発生する静電気を除去できます。電子部品を製造する工場のフロアや作業台、保管棚で主に使用されます。
5.2. 除電するためのグッズ
イオナイザー
除電するための道具としてはイオナイザー(除電器)が有効です。イオナイザーは、イオンを放出し帯電した物質にぶつけることでことで、発生した静電気を瞬時に低下させることができます。デスク上に設置するファンタイプや生産ライン上に設置できるバータイプ、ピンポイントで除電できるガンタイプなどがあり、用途によって使い分ける必要があります。
価格:25,900円~
- 内蔵されているファンにより広範囲を除電できる
- 80mm×110mm×39mmと小型なのでデスク上に設置しやすい
- 清掃アームを内蔵しているためメンテナンスの負担を軽減できる
5.3. 加湿するためのグッズ
加湿器
加湿器を設置することで空間の加湿ができます。製造現場の広さや会社の規模に合わせて導入する加湿器を選定しましょう。
価格:239,000円(税抜)
- コンセントに差し込むだけで運転できる
- キャスター付き小型の移動式超音波加湿器なので移動させやすい
- 加湿水槽内にUVランプを搭載しているので衛生的な加湿ができる
価格:329,000円(税抜)
- 扉開き検知、満水検知、水切れ検知装置あり
- 加湿運転の停止後は自動で乾燥運転されるためエレメントを清潔に保てる
- 給水方法は水道直結の自動給水と手動給水どちらも可能
5.4. その他
作業着
価格:3,190円~
- 制電糸もグリッド仕様なため、優れた制電性を維持できる
- 高品質で洗濯耐久性も兼ね備えた商品
- 2/1の綾織生地を使用しているため着心地が良い
手袋
価格:1双 351円(税抜)
- カーボンを含んだ長繊維ウーリーナイロンを使用しており、摩擦帯電・接触帯電の発生を防ぎホコリの発生を抑制できる
- 伸縮性の高いナイロンのため手にフィットしやすい
価格:1双 199円(税抜)
- カーボン繊維を織り交ぜたナイロンを使用した帯電防止した手袋
- 指先にはポリウレタン樹脂をコーティングしているため、細かな部品をつまんだりする作業等に向いている
- 手首部にほつれ防止のためのオーバーロック加工が施されている
靴
6. オーエスの静電気対策事例
当社では、様々な電子機器の生産を行っており各製品に適した静電気対策を行っています。ここでは、当社で行っている静電気対策事例を写真付きで紹介します。
当社で使用しているリストストラップです。右の写真のように、リストストラップテスターを使って正常に機能しているか確認をしてから作業を開始しています。確認した結果は点検簿に記録しています。
当社で使用しているイオナイザーです。テープを貼ることでスイッチのオンオフが一目でわかるように工夫し、電源の付け忘れや消し忘れを予防しています。
こちらは当社で導入している加湿器です。毎日の湿度を始業点検簿に記録し、常に適切な湿度を保てるように管理しています。
作業場所には静電気対策マットを敷きアースすることで、マット上の作業台や作業者の静電気対策をしています。
手袋や作業靴にも静電対策品を使用しています。
7. まとめ
この記事では、工場で起きやすい静電気問題や有効な静電気対策方法について説明しました。また、おすすめの静電気対策グッズや当社の事例を紹介しました。製造現場での静電気対策に取り組まれる方にとって役立つ記事となっていれば幸いです。
当社では、様々な静電気対策を施しお客様に安心して製造を任せていただけるような環境を整えています。HPに記載されていない案件でも誠意をもって対応させて頂きますので、まずはお気軽にお問い合わせください。